「みなさん、ご存じでしたか?」進行役の問いかけに、その場にいたお客様全員が、ほぼ同時に声を揃えた。
「そんなん知らんわ〜!もったいない〜!どこかに書いとかへんと〜」
思わず互いの顔を見合わせて、「ね〜」と頷き合う。
3月に開催した座談会での一幕だ。その日は、お客様を店舗にお招きし、お茶とケーキを囲んで、サントアンについてざっくばらんにお話しいただく会を催した。
話題の中で、ソフトクリーム原材料のこだわりや、手焼きコーンの説明を私が一通りし終えた時のお客様の反応が「それならそうと、ちゃんと言わなきゃ」愛あるダメ出しのように感じられた。
進むブランディング
サントアンの価値をきちんと伝わる形に整える「リブランディング」にじっくりと時間をかけている。日頃行っていることと、外側から見えている姿を一致させて、一貫したメッセージがお客様にも働く人にも伝わることを目指す。
いろんな視点からサントアンを見てみた時、自分たちのことはよくわかるが、外側から=お客様からはどう見えているのかは、想像していてもわからない。実際にお話を聞かせてもらうのが一番いいよね。そんなアイデアから、お客様座談会の企画が立ち上がった。
のべ30名ほどの方と合計12時間の語らい、たくさんのご意見やメッセージを受け取ることができ、これまでにないお客様との貴重な交流の場になった。
始める前は、率直なご意見をしっかりと受け止めることができるだろうか。怖くて不安な気持ちがあったけれど、終えてみると、どうしてこれまでやらなかったんだろう。これは毎年開催した方がいいと思うほど、貴重なお話の数々を聞かせてもらった。
伝える抵抗感
少し前まで、伝えるということに抵抗があった。
「こんな良い原材料を使っています」とか「こんなにも手間暇かけて作っています」と、自らアピールすることは、少し野暮で、わざとらしくて、嘘っぽい。お客様に空々しく感じさせるのではないか。いいものは黙っていても伝わる。粛々といいものを作り続けよう。創業者の父から引き継いで、私もそういう考えをずっと持ち続けていた。
だけど、どうだろう。この10年ほどで玉石混交の情報があふれ、価値観も多様になり、何を基準に選べばよいのかが見えにくい時代になった。
何も言わずにいることは慎ましさではなく、ひょっとしたら「何もない」と同義かもしれない。大切にしていることが本当はあるのに、それを伝えず楽な方に逃げていないか(他者に誤解なく伝えるって、エネルギーがいるものだよね)。お客様が心から良いと思うものを納得して選びたい。と願っているのに、そのための情報を出していないのは不誠実ではないだろうか。どこか薄々感じて、私の中で「伝える」の意味が少しずつ変わろうとしていた。
背中を押す座談会
座談会でのお客様の言葉が、そのことをはっきりとさせてくれた。まるで自分の店のように心配し、改善を提案する姿を思い出すだけで目が熱くなる。こんなにもサントアンの事を大切に思ってくださるお客様に恵まれていたんだ。
説明しすぎることへの抵抗や、誤解への不安は今でも少しある。だけど、伝えることは売り込むことではなくて、お客様が選ぶために必要な情報をきちんと手渡すこと。私たちが何を大切にして、なぜそうしているのかを誇張せず、隠さず、自分たちの言葉で伝え

