お菓子の歴史 2023.04


 サントアンは洋菓子店ですが、ひと口に洋菓子と言っても、ルーツをさかのぼれば色々な国にたどり着きます。サントアンが販売している人気ケーキの中だけでも、シュークリームはフランス、プリンはイタリア、ドーナツはアメリカ、シュトーレンはドイツと多岐にわたります。しかし、カットケーキで一番人気のショートケーキは意外なことに日本が発祥と言われています。


 ショートケーキが現在のスポンジ+生クリーム+いちごの形式が定着したのは、1922(大正11)年に洋菓子の老舗「不二家」が発売した〈フランス風ショートケーキ〉がはじまりとされています。ショートケーキの元祖は、16世紀から存在しているとされていますが、その起源ははっきりしていません。一説には、スコットランドのショートブレッドから発展したと言われています。サクサクとしたビスケットの様な生地に、クリームとフルーツを組み合わせたケーキだったようです。

 洋菓子が日本に取り入れられるようになったのは明治時代ですが、当時は生クリームではなく、常温保存が可能なバタークリームが主流でした。また、いちごは春しか採れなかったので今のようにいちごが使われていませんでした。昭和初期に始まる冷蔵庫の普及により生クリームへ変わり、いちごのハウス栽培技術が発展したことで、日本中の洋菓子店で今の形のものが並ぶようになりました。


 ショートケーキをはじめ、たくさんのお菓子が形を変えて今日まで育まれてきました。サントアンのショートケーキである「フレーズ・ア・ラ・レーヌ」はフランス語で「いちごの女王様」という意味です。毎日大きないちごを飾りに添えて、ショーケースでキラキラと光っています。

(担当:別所武)