お菓子の歴史 2023.06


お菓子の歴史〜プリン   

 文章 髙次萌


 日本でも老若男女問わず幅広い年齢層の方に親しまれているプリン。語源となっている“プディング(加熱して固められた料理の意味)“が食べられるようになったのはいつ頃からでしょうか。プリン発祥の国はイギリスです。16世紀の大航海時代、世界を支配しようとしていたイギリスにとって、最大の問題は船乗りたちの食糧事情でした。食材を無駄にしないために、余った肉や野菜などを煮込み、その具材を卵液の生地と一緒に蒸し焼きしたものを“プディング”と呼んでいました。


 その後、プディングはヨーロッパ各地で様々な形に変わり、やがて18〜19世紀フランスでカスタードプディング、現在のプリンが誕生しました。フランス語では、Crème renverse(クレーム・ランヴェルセ)と呼ばれ、renverseは「ひっくり返した」という意味で、出来上がったものを逆にしてお皿に盛り付けるところから名前がつきました。


 日本にプリンが伝わったのは、江戸時代後期〜明治の初期だとされています。1872年の文献でプリンが紹介され、それから少しずつプリンがレストランなどで提供されるようになりました。1964年に家庭で作れるプリンの素が発売されたことで現在のように一般家庭にも普及していきました。プリンが現在の形に変化するまで、1500年以上も時を経ているのに長い歴史を感じます。


 卵、牛乳、砂糖と材料がシンプルだからこそ、サントアンでは食べる人を思って原材料にこだわったプリンを作っています。深いコクのある卵。クセのない穏やかな甘みのある牛乳。まろやかでミネラルが多く含まれている洗双糖。

私たちの普段の生活に溶け込んでいて当たり前のようにいろいろな場所で味わうことのできるプリンですが、歴史の深さを感じていつもと違った楽しみ方で味わってみてもらいたいです。