サントアンレポート 2025.07


生産者から消費者へ、見える繋がり。 文章:藤本美南


 初夏を感じさせるほどよく晴れた5月。

丹波市氷上町にある丹波乳業さんを訪ねました。サントアンのお菓子には丹波乳業のノンホモジナイズ・氷上低温殺菌牛乳を使用しています。今回、工場や牛舎の見学を通して使用している低温殺菌牛乳のことや、丹波乳業さんの思いを改めて伺うことができました。

 牛乳を作る上で行う、脂肪球の大きさを細かく均一にすることをホモジナイズ(均質化)といいます。高温短時間で殺菌し、ホモジナイズされた牛乳はサラッとしていて、成分が均一なまま保存期間を長くすることができます。しかし、高温で殺菌すると牛乳に含まれる熱に弱いタンパク質は熱変性を起こしその機能を失うものも。また、生乳本来の風味とは異なったり加熱臭が残ったりします。ノンホモジナイズとはこの処理をしないで低温で殺菌する製法のこと。脂肪球が様々な大きさのままで、低温で時間をかけて殺菌するため免疫に関わるタンパク質のほとんどがそのまま残っていて、生乳本来に近い風味を味わえます。表面にクリーム(脂肪分)が浮いて白く見えることがありますが、それはノンホモジナイズ製法の証。サントアンのプリンにもその証が残っています。

 実際に、高温殺菌法牛乳と低温殺菌牛乳の飲み比べをしました。低温殺菌牛乳は無臭に近く、よく見ると少し黄みがかっていてとろみがあり、優しい甘さが口の中に広がります。一口飲んで「全然違う、おいしい」とつい言葉をこぼすスタッフも。こうして比べると改めてその違いを実感します。

 工場見学の後は社長・吉田さんにご案内いただき牛舎を見学しました。

中に入ると何頭もの立派な牛が吉田さんのところへ。その迫力に圧倒されながら、吉田さんと牛たちの間に確かな信頼関係が見えます。

ノンホモジナイズの氷上低温殺菌牛乳には遺伝子組み換えではないエサを使用している丹波市内の指定酪農家さん3件のみから集乳しているとのこと。餌の味は牛乳の味だとおっしゃる吉田さん。丹波乳業さんの牛乳の安全性はここから始まっているんだと感じました。

 「実際の地域と現場を見て生産者から消費者につながっているのが見えるんです」。

そう話す吉田さんからは、生産者、消費者、牛を大切に思う気持ちが溢れていました。

近くの酪農家さんから集めているのは産地工場だからこそできる安全性と味があるから。生産者から消費者への繋がりはお菓子を作る私たちにとっても大切な繋がりです。

そんな新鮮で美味しさいっぱいの丹波乳業さんの牛乳はスーパーや、学校給食でたくさんの人へ届けられています。そして私たちはこれからも、丹波乳業さんのノンホモジナイズ・氷上低温殺菌牛乳を大切にお菓子にして伝えていきます。

 丹波乳業さん、今回お話を伺えて本当に良かったです。ありがとうございました。