セーフティフルーツ 能勢賢太郎さん 文章:山下滉生(パティシエ)
良いところも、そうでないところもお客さんに正直に。
ものづくりの信念を曲げず、農業を通して人との関わりを大切にするかっこいい農家さんの姿がそこにはありました。
だんだんと春の陽気を感じる4月。今回訪れた農園は、広島県尾道市瀬戸田町にあるセーフティフルーツさん。レモンの生産量日本一を誇る瀬戸田で、能勢さんはレモンをはじめ20種類以上の柑橘を有機栽培で育てています。有機栽培は先代である能勢さんのお父様が始められたもので、受け継いだ今でも有機にこだわり日々創意工夫されています。
なるべく自然に近い形で
農場を見学する中で印象に残ったのは、能勢さんの土に対する知識と熱量です。
「良い土づくりが良いレモンを育てるんですよ。」魚や牛ふんなどから作られる自然由来の肥料を撒き、微生物が住みやすい環境を徹底して作ります。こうしてできた土はフカフカで水はけの良い土となり、柑橘は甘味を蓄えます。
「なるべく自然に近い形で育てたいですね。人は草を刈ったり、土を整えたり、おいしく育つ手助けをするだけ。あとはお天気次第。」
熱心に話すその目は、楽しそうでキラキラ輝いて見えました。
お客さんと誠実に対話を
天候や害虫などで被害を受け、作物が病気にかかることもあるそうです。ただ見た目が悪いだけでレモンのおいしさは変わりません。こういったレモンは能勢さんの取り組みに共感する方々が購入します。
「自然のものなので、綺麗なものばっかりじゃ変じゃないですか。お客さんにはちゃんと理由を知ったうえで買ってもらってるので、本当にありがたいことです。」
どんなレモンを使いたいか、キリッと酸味が欲しい?甘さが残るものがいい?こんな風にお客さんの要望を聞きながら一人ひとりと対話し、築き上げた信頼があるからこそ、能勢さんのところで買いたいんだと感じました。
今回、能勢さんの愛情たっぷりに育ったレモンを200kgほど購入しました。思いのこもったレモンを大事に加工してケーキや焼菓子にして販売します。ぜひ能勢さんの思いと共にお召し上がりください。
能勢さん、お忙しい中見学させていただきありがとうございました。次に伺った時もいっぱい勉強させてください。