そうだったんだ!
キャリー焼菓子店さんのインタビュー(左頁コラム)の現場に居合わせていた私は、なんども膝を打った。ベイクの日を終えたあとの気持ちのワケが染み込んできた。
2025年3月29・30日、丹波の森公苑で開催された「ベイクの日」は、キャリー焼菓子店の10周年を記念して主催されたイベント。パン、お菓子、器、焼き鳥など、“焼く”のお店を中心に、食事、ワークショップ、物販など、キャリー焼菓子店のご夫婦が尊敬するお店がずらりと勢揃い。
嬉しいことに、サントアンもお声がけいただいて、焼菓子を携えて参加させてもらった。
昨年、開催された「ベイクの日」の話は、サンマルシェ(サントアンで月に1度開催しているファーマーズマーケット)に出店しているメンバー数名から、以前聞いたことがあった。
「森の中でお客さんも出店者もみんなが楽しんで、すごくいい雰囲気だった」
「きっと、紗希さんも好きだから、出たらいいよ!」
何にも知らないけど「いいなぁ!出たい!」直感でそう思ったのを覚えている。
キャリー焼菓子店には1度、お店に伺ったことがあった。
店舗や小麦を自分たちで作っているおもしろいお菓子屋さんが丹波にあると連れて行ってもらったのがきっかけだ。
お店を訪れ、その人気の理由がよくわかった。小さくとも、しっかりと芯を捉えた店舗のスタイルに、お客様が思わず惹きつけられるのも当然だと思った。
まさに、変わろうとしているこの時代の最先端を自分たちの手で掴みにいっている。サスティナブルな内装と好きなもので溢れた店内、無理のない営業日数。農業と商いを半分ずつバランスよく。自身の幸せや、お店の価値を他者に委ねない。自らで決めて、磨いていく。
そんな姿に、どこかで「羨ましい」と感じた。それ以来、私の中ではうまく言い表せない”確かな存在”として、密かに注目していた。
それゆえに、ベイクの日の出店には気合いが入った。
ともかく、キャリー焼菓子店さんのことが好きなお客様をがっかりさせられない!いいイベントだったって言ってもらいたい。お菓子の質もさることながら、店構えにも手が抜けなかった。ショーケースや看板を準備するのにわくわくした。
当日は、気持ちの良いお天気に恵まれた。会場には開始前から長蛇の列ができていて、サントアンブースで一心不乱に販売して、ようやく顔をあげたら、たくさん持ってきたはずのお菓子が1時間半で完売していた。嬉しいやら申し訳ないやら。2日目もやっぱり3時間で完売。盛り上がりに圧倒された。
どの店舗も魅力的で、どうしたらこんなに素敵なお店が出店してくれるんだろう。お客様も聞けばいろんな地域からお見えになっていた。センスのよい若いファミリーが多く、この日を楽しみにしていた様子。滞在時間も長く、それぞれが思い思いに過ごしていたのが心に残っている。
この素敵な空間に出店させてもらえたのが嬉しかった。心地のいい疲れと、充足感がいつまでも続いて、忘れられない出店となった。少しだけだけど、一緒の時間と空間をともにして、たくさんの問いをもらった気がした。