お菓子の歴史 2023,11


マジパンの歴史    文章:髙次 萌


 みなさんはマジパンをご存知でしょうか?マジパンとは粉末に挽いたアーモンドと砂糖、卵白などを混ぜてペースト状にかためた洋菓子です。ヨーロッパではそのまま食べられることも多く、焼き菓子の生地に混ぜ込んだりして日常的に親しまれています。日本ではマジパンをそのまま食べられることは少なく、主にケーキを飾る人形を作る際に使われています。


 マジパンの発祥は10世紀頃、中東で冠婚葬祭の祝い菓子として作られていたのが始まりです。その後ヨーロッパに伝わり、北ドイツのリューベックが最もマジパンが親しまれている地域です。15世紀頃、街が飢饉に陥った際、倉庫に大量に残っていたアーモンドでマジパンを作り人々に配った、というエピソードが残っています。


 マジパンは砂糖とアーモンドの分量によって、お菓子やパン作り用の「マジパンローマッセ」とケーキの飾りなどに使う細工用の「マジパン」に分けられます。細工用マジパンは粘土のように成形しやすく、作る人のイメージと手の感覚だけで様々な形を作ることができます。


 細工マジパンで作った作品の技術や芸術性を競うコンクールが全国で催され、マジパン細工に取り組むパティシェ達が日々、切磋琢磨しています。私もコンクールに挑戦し、限られた時間の中で完成度の高い作品を制作できるように日々勉強しています。入賞を目指して作ることも大切ですが、一番は楽しんで見てもらえることを大事にしています。一目見てストーリーが伝わりワクワクできることがケーキの装飾に大切だと考えています。これからも技術や感性を磨いて、人の心に残る素敵な作品を作れるようマジパン細工を続けていきたいと思います。