お菓子の歴史 2023,10


モンブランのはじまり   文章:髙次萌


 濃厚な栗の味わいを楽しめるモンブランはケーキの定番商品であり日本でも馴染み深い洋菓子です。今回はモンブランの名前の由来や意味について話したいと思います。


 モンブランの名前と形は、フランスとイタリアの国境にそびえる山「モン・ブラン」が由来です。フランス語、イタリア語、どちらの国でも「白い山」を指す言葉で呼ばれ、アルプス山脈に連なる年中雪に覆われたその姿はまさに白い山です。


 どちらの国にもモンブランの山を模倣して作られたお菓子が存在しており、美しい山の形を表現していますが、原型は栗の名産地であるイタリアのピエモンテ州の家庭菓子といわれています。

 当初は栗のペーストに泡立てた生クリームを添えたデザートでした。これをもとにフランスのパリ1区リヴォリ通りにある老舗カフェ「アンジェリーナ」がメレンゲの上にクリームを搾り出した今の形に発展させ、モンブランを看板メニューとしました。


 1933年に菓子職人の迫田千万億(さこたちまお)氏がシャモニー地方を旅した時のことです。彼はその栗を使用したお菓子と出会い、おいしさと美しさに感動しました。帰国後、東京の自由が丘の「モンブラン」という自身の店でモンブランを改良しました。土台をメレンゲからカステラへ、栗クリームはヨーロッパの茶色いクリームではなく日本人になじみ深い黄色の甘露煮を使用しました。

 そして日本風にアレンジされたその黄色いモンブランが日本全国に広まりました。その後、日本人菓子職人がフランスへ修行に行くようになり、国内でも徐々にフランス発の茶色いモンブランが広まっていきました。現在ではどちらのモンブランも日本に定着しています。


 私が洋菓子に興味を持ち始めた頃に、茶色いモンブランを食べるようになりましたが、幼少期の頃食べたモンブランは黄色いモンブランでした。学校行事や勉強を頑張ったご褒美は家族で食卓を囲み、黄色いモンブランを食べました。あの時のモンブランは日本で誕生したモンブランを身近に食べていたのだと知りました。

 このコラムを通していろんなお菓子に詳しくなり、美味しいケーキ作りに繋げたいです。

サントアンで作っている定番モンブランは2種類


・グランド モンブラン

4-5名様で召し上がっていただく大きなモンブランケーキ。タルト生地とクリームの食べ応えのあるボリュームと、贅沢に和栗を使った最後まで飽きない上品な味。お誕生日、記念日に大切なみなさんと。


・モンブラン

どんな季節でもいろんな世代に人気の一品。味のバランス、製法、素材を折に触れて見直し、変わらないおいしさを守ります。