お菓子の歴史  2024.01


ガレット・デ・ロワの歴史   文章:髙次萌


 ガレット・デ・ロワは、新年に食べる伝統的なフランス菓子です。表面の飾り切りの模様が美しく、家族や友人たちとの団らんに欠かせないお菓子です。

 ガレット・デ・ロワを楽しむのは味だけではありません。フランス語で「そら豆」を意味する、フェーブ(Fève)と呼ばれる2~3cmほどの小さな陶器の人形がひとつだけお菓子の中に隠されています。切り分けられたケーキの中にフェーブが入っていた人は、その日の王様もしくは王女様となり、王冠をかぶってみんなから祝福されるという習わしがあります。もともと、中に入っていたのは陶器の人形ではなく本物のそら豆でした。そら豆が胎児の形をしていることから、古代より生命のシンボルとして人々から大切にされてきたのです。19世紀に入り工業化が進むにつれて陶器製のフェーブへと変化していきました。初期には宗教的なモチーフが用いられていましたが、現在では機関車や動物などのかわいらしいものも多くあります。

 シンプルなお菓子ですが、職人のスキルと個性がハッキリ出るお菓子で、M.O.F.(フランス最優秀技術者)検定試験の課題にも指定されています。日本国内でもガレット・デ・ロワの魅力や文化を伝えることを目的に全国でコンテストが開催されています。

 見た目が美しく、味もおいしく、フェーブが当たるわくわく感まで味わえる魅力的なスイーツです。集まる機会が多い1月、サントアンでもガレット・デ・ロワをご用意しています。団らんの真ん中にいかがでしょうか。