つくるひと2025.05


サントアン店頭に並ぶギフト商品は、季節や行事を感じられるラッピングがいつも楽しい。眺めているうちに、贈りたいひとの顔が浮かんでくることも。誰かにあげたい。そう思わせてくれるお菓子が詰まったバスケットや小箱には、リボンがキュッとかかり、花飾りが添えられているものもある。その花飾りは造花のはず。なのにどうして、生花を見ているときのように心を動かされるんだろう。そう感じたことがあった。

「お花を組むときに、お花の向きがあって。ここで曲げて、お花をこっちに向けて、みたいなことをやっています。お菓子を食べた後も使ってもらえるように、花瓶にそのまま挿してもらえる形にしていて。これも使ってねって、気持ちを込めて作っています」。
ギフト担当の井上さんはそう話す。紙や布でできた花から生命力が感じられるのは、井上さんの仕事があるから。

やっぱりお母さんに合ってたんやね ギフト担当の仕事は、サントアンの贈答用の商品作り。包装から、リボンや箱の発注までも任う。井上さんは休日に大阪まで出て様々なお店の商品を見たり、展示会へ足を運んだりと情報収集にも積極的。 「時代は変わってくるから、お店としてどうしていった方がいいのかっていうことも考えます」と、井上さん。 「自分にできることはなんだろう」という言葉を、インタビュー中に何度も口にした。「要望に応えていくために何ができるだろうって、ギフト担当の仲間と考えているんです。サントアンが大好きだから。サントアンに来たら、このギフトが買えると思ってほしい。お客さまが贈答用として持っていくのに、最適なギフトを作りたいです」。 サントアンに勤めて12年が経ち、今年で13年目。干支が一周しましたね、という言葉に「そうなんですよ、びっくりしてます。娘に言われたんです。”やっぱりお母さんに合ってたんやね”って」。そう井上さんは言う。 働き始めたきっかけは、サントアンでアルバイトをしていた娘さんの推薦。「うちのお母さん、ギフトの仕事だったらしたいかも”と話したみたいで、当時の店長さんから面接に来てくださいと電話がかかってきて」。ずっと専業主婦だったから、電話を受けた時は驚いた。娘さんはどうして推薦したのだろうときねると、「リポンはもともと好きなんです。友達に何かあげる時も、自分でちょっとラッピングしてあげていたのを娘は見ていたと思います」。そう井上さんは話してくれた。 フラワー、アレンジメントが好きで、家にお花も飾っていた。ひとに喜んでもらうことも好きで、可愛く包んだプレゼントをサプライズで渡すことも。専業主婦をしながら抱いていた「何かしたいな、でも自分に何ができるかな」という淡い思いに、井上さんをずっと見てきた娘さんが、不意に道を開いてくれたのだった。
喜んでもらえることを想像しながら 井上さんは出勤するとまず店頭に来て、ギフト商品の状態をチェックする。潰れてしまっているリボンがあれば、”ぷりん”となるように形を整える。「1番いい状態で手にとってほしい。 重ねて置かれて潰れているリボンがあれば、キュッと丸く起こしていきます。多分、こんなことが好きなんですね。いつも自分がお客さんだったら、こんなギフトをあげたいなっていうのを想像しながら作ってます」。ただ箱に詰めるだけ、ただリボンを結ぶだけじゃない心配りがある。リボンやお花のアレンジメント。要らないと外そうとした時もある。「でもやっぱり、要るなってなりました」。それは、贈った人に喜んでもらいたいという、気持ちそのものだから。 装飾用の造花の仕入れやアレンジも担当は井上さん。もともとお花は大好きで、フラワーアレンジメントも習っていた。 「教えてくれていた先生のセンスが好きで、選んでるお花もデザインもよくて、そこで今まで以上にお花が好きになって」。 ホテルで開催された展示会にも出品した。「自分の名前で作品を出して、デザインやお花だけじゃなく装飾を作るのも自分でやって。すごく勉強になって、今でもそのときの写真を大事に取ってあります。そこで身についたものも、ここでお仕事をさせてもらっているから活かせているんやなって」。 「私の話はいいですから、ギフトのことをいちばん伝えたいです」とも話していた、井上さん。ラッピングを通じて#上さんは、喜んでほしい、素敵な贈り物をしてほしい、という気持ちを形にしている。 素敵な贈り物をお探しの時は、ぜひサントアンへ。