夏の無添加ゼリー・ようかん


サントアン菓子物語「夏の無添加ゼリー・ようかん」

 

 夏の贈り物に好評いただいています、サントアンの無添加ゼリー・ようかんシリーズ。ゼリーとようかんそれぞれ数種類ずつ用意して、贈る方も贈られる方も喜んでいただけるラインナップをご用意しております。

 ゼリーようかんの準備は5月発売開始を目標に、年明け2月頃から始まります。(原材料の手配などを含めると前の年からかもしれませんね。)人気の※せとかゼリーは、農園さんから直接送ってもらった果実を半分に割ってジューサーでひとつひとつ絞って、みかんジュースから作る年もあります。

 サントアンのゼリー・ようかんはゼラチンではなく寒天を使用して固めています。香料やph調整剤などは使用せず、素材のシンプルな味を届けたいと考えています。

 

【どこで線引きをするか】

 あれこれと加えすぎずに素材本来のおいしさを伝え、お客様やスタッフの健康を願い、安心してお召し上がりいただけるお菓子作りを目指して保存料・香料・着色料などの無添加化に取り組んでいます。国が定めた食品添加物と一括りに呼ばれるものの中には、豆腐を固める為に使用する「にがり」や、カレーなどに入っている「ウコン(ターメリック)」なども分類されており、必ずしも食品添加物と呼ばれるもの全てが化学的に生成されていたり、健康被害が疑われているわけではありません。

 何を良しとして、何を使用しないのか。基準をどのように線引きするか。サントアンでは、その都度、調べて学び、しっかりと議論することにしています。現代では多くの方々によって、たくさんの研究が行われ、技術や機械の進歩で加工精度が上がり、天然由来で作られ安全とされる食品添加物がたくさん生まれています。しかし、私たち人間の身体はそれらを処理できるだけの進化を遂げているのでしょうか。ほんの微量であれば影響がないとされていますが、数え切れない種類の組み合わせで摂取し、毎日毎食食べ続けた人を40年50年と調査しているのでしょうか。

 大切な家族にこそ食べてもらいたいものかどうか。良心に従って基準を設けたいと考えます。

 

 

【失敗から学ぶ】

 容器に入れて密閉し、高温で滅菌することで長期(1-3ヶ月)保存が可能となるゼリー・ようかんですが、たくさんの量を間違いなく安全に容器に充填するには広い加工スペース、専用の充填機械などが必要になります。かつては自店で加工充填していたこともありましたが、現在は専門にされている業者さんへ依頼しています。ゲル化剤やph調整剤を使用すれば簡単に解決できる課題も、それらを使用しないとなると工夫や試作の手間や時間が必要で、引き受けてもらえなかったり、お取引が続かなかったこともあります。

 レモン生産量日本一の広島・瀬戸田町で化学肥料・化学合成農薬や除草剤を使用せず皮まで食べられる柑橘を育てるセーフティーフルーツさん(https://shimanami-lemon.com)のしまなみレモンを使用した「塩レモンゼリー」を作ろう!と挑戦したのが2021年。試作を繰り返して、同梱するためのしおりや商品を包む帯など準備をしていましたが販売直前でうまくいかずに幻のゼリーとなってしまいました。

 途中、業者さんからはph調整剤を使用すれば製品化可能。と提案いただいたのですが、使用したくない私たちの信念を汲み取ってくださり、双方の粘り強いやり取りがギリギリまで続きました。結果的には「塩レモンゼリー」は製品化には至らず、私たちの盛大な我がままに多くの時間を費やしていただいたにも関わらず、販売中止の判断をしました。その後すぐに加工充填会社の社長さんが直々に訪問されて、サントアンの信念に共感しているので、どうにか力になりたかった。このようなものづくりをしている会社を応援して形にしたかったので残念で申し訳ありません。と、想像もしていなかった温かな応援の言葉をいただきました。独りよがりに無添加ゼリー・ようかん作りを進めていた自分が恥ずかしくなりました。共感の輪をサントアンから広げていきたいと口にしながらも、実際はそうしていなかった自分に気付かされ、頭をガツンと殴られるようなできごとで、これまでの行いを深く反省する機会をもらいました。

 そんなこともありながら、多くの方のご協力と熱い思いによって店頭に並んでいるゼリーとようかん達です。お客様に涼を届け、喜んでいただけたらこの上ないです。

 

※1 せとか … 柑橘の品種のことで、みずみずしく濃厚な味わいが特長です。