お菓子の歴史2025.03


焦げているけど大丈夫?

一見不安になりそうだが、それが良い!焦げた表面はカリッと固く、ほろ苦さと香ばしさが感じられる。一方、内側はクリームがとろりとして滑らかな舌触り。カリッとした食感ととろりとした食感が同時に味わえるケーキ。その名はバスクチーズケーキだ。 

 バスクチーズケーキのバスクとは、フランスとの国境に近いスペインの地方の名前のことで、スペイン北部に位置するバスク地方で生まれたお菓子なのだ。ビスケー湾に面したリゾートの街、サン・セバスティアンの「ラ・ヴィーニャ」というバル(飲食店)で誕生したチーズケーキが元祖と言われている。

 バスクチーズケーキは、クリームチーズを多量に使用しているので、チーズのコクが深く感じられ、味が極めて濃厚。そして高温、短時間で焼き上げることから、表面の黒く焦げたような焼き目はカラメルの味が濃く、中はしっとり、とろりとなるのが特徴。焼いてあるにもかかわらず、レアの食感が楽しめる。

 チーズケーキは店頭で販売されているものは冷蔵庫で冷やされているのが一般的だが、バスクチーズケーキはとろりとした食感を出すためにも常温で食べるのがおすすめ。冷蔵庫で冷やしたバスクチーズケーキも噛み応えのあるしっとりとした食感を楽しめるのだが、食べる前に常温に戻したり、電子レンジで数秒温めたりすると、さらに美味しくなる。

 ちなみに冷凍させると中身はさらに固くなり、適度に凍らせればアイスケーキのようなシャリシャリとした食感を楽しむことができる。美味しいスイーツは心が満たし、日々の疲れを忘れさせる魔法のような存在になっているだろう。